大学生時代、バイトして貯めた金で免許を取った。
「間違いだらけのクルマ選び」を読み、クルマは911と決めた。
でもバイト収入だけ。仕方なく国産中古に乗った。
就職後、20年も経つと所得ももそこそこ上がったので、ポルシェセンターの戸を叩いた。
最初は986だったが、最良のポルシェは最新のポルシェという文句に従い、997へ乗り継いだ。
しかし997も最新型でなくなった。
997から981への買い替えを決意した翌月、997に乗ってフェリーで北海道へ渡った。
走る道は固めていたが、宿は決めずにいた。東京に住む者からすれば、9月中旬の北海道は、もう完全に冬!というレベルではあったが、暖かい部屋で寝るよりも、997の横で寝る旅とした。別れるまで、できるだけそばにいて欲しい。相反するようだが、最良のポルシェは最新のポルシェを信じてきたからこそ、乗り換えを決意したはずだった。
数日かけ、ニセコパノラマライン、知床峠、三国峠と、黄金ルートを回った。峠の山は紅葉の絶頂を迎え、大雪山は冠雪していた。
997のボディはとてもセクシーだ。
トンネルの中に入ると電灯が次々にフロントフェンダーから流れていく。この瞬間がたまらない。
後続車と先行車がないことを確認し、至福の時を味わう。エギゾーストノートが響き渡った。
好天もこの日まで、というときに最終目的地である屈斜路湖畔に到着した。
夏場はにぎわうここのテント場も、9月は管理人だけ。水際の砂地を避けて997を停め、テントを真横に設営した。夜を迎えると西へ傾いた天の川が997のメタリックボディに映った。
そして11ヶ月後、我が家に981がやって来た。希望どおりの登録ナンバー「1」。
さっそく週末に長野へ出掛けた。今回のお楽しみは草津・志賀高原ルートだ。慣らし中なので上まで回せないが、Sなのでパワーは十分。いつものところで記念撮影しているとバイクが横に停まった。
「これ、ポルシェですよね?写真撮ってもいいですか?」と言って青年が近づいてきた。車体を撮影するかと思ったが、エンブレムを撮影したかったらしい。
いや、そこじゃなくて、全体を撮ってヨというのは野暮というものだ。
数分の会話の後、いつかはポルシェに乗りたいんです。でもバイクは手放せないし。我慢するしかないかなと言って青年は、バイクのセルを回した。
いつか乗れるさ、あきらめちゃいけないぜ。ポルシェは自分の人生そのものさ。
北海道の三国峠、知床峠、ニセコパノラマライン。本州なら草津志賀高原道路。レストランではないが、美麻村の蕎麦屋「美郷」。九州一周。
オーディオ、バイク、天体写真撮影、飛行機乗り
エンジン音だけ。余計な音は聞きたくないタイプ。
大きく丸みを帯びたリアフェンダーと、ぎりぎりに収められた極太のタイヤが生み出すポルシェ独特のヒップスタイル。果たしてどのあたりのモデルから採用されているのでしょうか。
そもそもナローという【幅が狭い】という意味の通称名で呼ばれていた911。
ナローをオーバーフェンダー化させた73年型カレラRS2.7あたりがその始まりでしょうか。
いえ、やはり独特の「迫力」という意味では、75年発表の911ターボ(930型)がその祖と言えるでしょう。
ベース車911のフェンダーを12cmもワイド化させたその佇まいは、現在におけるポルシェ車すべての迫力ある独特なヒップスタイルに通じます。
星野リゾート
宿泊ギフト券 50,000円分×2枚
全国にある星野リゾートの宿で1年間いつでもご利用可能です。
ご利用人数・お部屋数・ご宿泊数・プランはご宿泊者が自由に選択可能です。